Tシャツ等の衣類へのシルクスクリーンは、主に、水性インク(水性ラバー)と油性インク(油性ラバー)を使用しております。
※例外的に反応染料での捺染印刷(バンダナやハンカチ等)を行う場合もございます。
※ブルゾン類は、溶剤インクや油性ラバーインクを主に使用しております(例外あり)。以前は、水性インクも油性インクもコストの面で大きな差がありませんでしたが、近年の円安の影響で、アメリカからの輸入をメインとした油性インクのコストが急激に上がり、水性インクでのプリントが増えてきました。ポリエステル生地、ドライ生地のTシャツは、ブリード(昇華現象)が発生するリスクがありますので、従来より水性インクでプリントを行っております。
水性インクも油性インクも、乾燥後はかなり洗濯堅牢度を持つようになりますので、実際の使用に関して大きな差がでることはあまりありませんが、プリント面が酷使される現場では、油性インクの方が安心できる場合もございます。
油性インクと水性インクを比較すると、油性インクの方が細かな線が出やすい状況があり、水性インクは細かいプリントには不向きなインクとなっております。現在、油性インクを使用しなければいけないような細かなデザインの場合は、+αの料金で対応させて頂いております。また、過去20年の実績でも、水性インクでも問題になったことはほとんどありませんのでご安心下さい。
▼インク毛羽立ち現象について
ここまで丁寧に解説している業者はないのですが、気になるポイントですので、インク毛羽立ち現象について解説したいと思います。
シルクプリントで使用する水性インクの特徴は、乾燥前の状態で、油性インクよりインクが柔らかい…という特徴がございます。
その為、2回刷り3回刷りが必要な濃色生地に淡色プリントの場合、1回目に印刷した際のプリント面の糸の細かい繊維が、仮乾燥で一時的に高熱を掛ける為、インク面から起き上がり、2回目の印刷の外側にずれて、付着する場合がございます(インク毛羽立ち現象)↓。
基本的には、シルクプリントの水性インクに起こる現象となりますが、インクが硬い油性インクでも水性プリントと比べるとかなり少なくなりますが、毛羽立ち現象が多少発生します↓。
毛羽立った細かい糸の繊維は、手で摘まむと簡単に取れるのですが、何回かお洗濯する過程で、自然に取れていきますので、そのままご使用頂いて大丈夫です。
また、淡色生地(白生地等)に、濃色インク(黒インク等)の場合、1回刷りで印刷が仕上がりますので、この現象はほとんど目立ちません↓。
さらにポリエステル生地の場合、綿等の天然繊維とは異なり、そもそも毛羽立つような糸の繊維が無い為、ほとんどインク毛羽立ち現象はほぼ発生しません↓。
また、カード糸やオープンエンド等の糸がフワッとしていて粗いTシャツ類は、糸の繊維が拡散しやすく、糸の細かい繊維が除去されているコーマ糸と比べて、インク毛羽立ち現象が発生しやすくなります。セミコーマ糸は、カード糸とコーマ糸の中間くらいのイメージとなります。
アメカジ等のTシャツはオープンエンド糸が使われているケースが多く、インク毛羽立ち現象は発生しやすくなりますが、いずれにしても細かい糸繊維は、お洗濯の過程で自然に取れていきますので、ご納品時の新品のときに発生する現象となります。
※同じシルクスクリーンプリントでも、インク表面の質感は、生地素材・生地色・プリントカラー等によって異なります。 |